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幸福は甘くなかった

 福田恒存『私の幸福論』(ちくま文庫)を読む。平易な言葉で語られる、その内容は深く重厚で何度も読み返すことになると思った。昭和30〜31年にかけて講談社『若い女性』という雑誌に「幸福への手帖」と題して連載された。もう70年ほど前の文章だから、社会の事象は大きく変貌して日本人の生活...