2023年2月19日日曜日

排除する社会

 動画配信で映画『PLAN75』(2022年製作/112分/G/日本・フランス・フィリピン・カタール合作 配給:ハピネットファントム・スタジオ)を観る。最近あまり観たい映画が見つからないまま放置していてあと数日で翌月の支払日となり、今回は更新しないことにした。期日が切れるまでに何かと思って探してみたら、昨年6月に公開のSFが配信開始になっていた。

支度金10万円支給、審査不要、合葬なら無料... とてもリアルに迫ってくる。コロナ禍では大切な家族に面会も最期の別れもできず、遺体袋に収めたまま火葬場へ運ぶことがまかり通った。日常が戻っても心の傷は残ったまま、こんなSF映画が現実になったところで、もはや誰も驚きはしないだろう。

かなり昔の映画になるが『COMA』(1978年 米)は簡単な手術中、昏睡状態になる患者が続出する病院に捜査が入る話で、10代の頃震え上がったのを記憶している。もっとも、善意のドナーと臓器売買を結ぶ悪徳病院を一刀両断する勧善懲悪モノであるから、後味は悪くないのだ。

私利私欲のための犯罪はそいつだけを罰すれば済む話なのだが、国家の場合はどうだろう。社会保障費削減のため個人に自決を迫る国家とは。組織的な殺人ほど恐ろしく、ある意味人間の特性を活かした行為であり、さらには人間の本質にも迫る重いテーマにつながる。

税収の観点から「生産性」を問われれば今の私は限りなく0であるけれど、私のような人が一斉にこの世から消えたら世の中が良くなるんだろうか。ちょっとそれは違うんじゃないか、というのがこの映画が問うところである。

映画『PLAN 75』あらすじ感想と評価解説。“SF現代版姥捨て山”を早川千絵監督が再び描く



ぼくの好きなおじさん

 やっと猛暑から解放されたと思ったら10月も終わってしまった。慌ただしく自民党総裁選、衆院選が行われ、さらには首相指名選挙と政治の空白期間に不安しかない。不安というなれば今から50余年前、私が赤ん坊だった頃の日本は沖縄が返還された一方で、ベトナムへ向かう米軍の出撃基地だった。母が...