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2023年1月20日金曜日

泣く子とチョコには勝てぬ

 どこで聞いたか定かではないが、どんな料理上手でも子供を前にしたらチョコとアイスには勝てない、という。これが食べ盛りになると必ずしも当てはまらないだろうが、チョコレートの中毒性は多くの人が認めるのではないだろうか。

これまで庶民的なのから高級品まで幾度となくチョコレートを口にしてきた。世界でも最高峰と言われるベルギー製などは香りが良くて、素晴らしい口溶けだった。そのベルギーの世界的チョコレートメーカーGodivaのブランド名については伝説や謎があるようだ。

パッケージにある馬に乗った髪の長い裸の女性は、英国イングランド中部コヴェントリーの修道院に残る伝説によるもの。Godiva夫人は11世紀に実在した人だが、夫のレオフリック伯爵が領民に重税を課したことに抗議、素っ裸で馬に乗り町を一巡したという。伝説は語り継がれ、コヴェントリー市の旗は彼女のシルエットが描かれ銅像も立っている。しかし魅惑的なモチーフではありながら研究者間では史実でないことで一致しているという。

領主「すっぽんぽんで町内一巡りしてきたら考えたるで。やれるもんならやってみぃ!」

伯爵夫人「ほなやったるわ!ウチとの約束破ったら百姓一揆が起きるで。忘れなや!」

村の老人「伯爵夫人が一肌脱いで増税に反対してくださるのじゃ、ワシらはお姿を見たらいかん。お前目をつぶれ、バチが当たるぞ」

村の若者「爺様こそ目が開いてるよ」

盗み見した男が盲目になったとか、面白い話にどんどんホラ話が加わっていくのだが、作り話の中にも真実はある。

当時ウスターという町で英国王ハーダクナットが派遣した徴税人2人が、重税で怒り狂った村人に殺害される事件が起きた。レオフリック伯爵はその報復の命を受けたが、ウスターの領民の反発が激しく、それを鎮圧するために地元の聖堂に多額の寄付を施しベネディクト派の修道院を設立したという記録が残っているという。おそらくは教会関係者が為政者からの献金を後世に書き記す時、民衆が税金をおとなしく納めるように美談を書き加えたのだ。

同時期というと日本は平安末期から鎌倉時代、寺院が施餓鬼を行ったように教会が炊き出しをして食べ物を振る舞ったりしたのかもしれない。いつの世も僅かなバラマキで怒りの矛を収めねばならないのかと思うと切ないし、信仰も貧しい人も利用されるしかないのだろうか。今でもLady Godivaにちなんで裸…に見える肌色の全身スーツを着て馬に乗って増税反対パレードをやる人があるとWikipediaは書いているけれど、伝説なだけにどこか滑稽でほろ苦い。



2021年10月11日月曜日

そんな時代も

今日は久々に大学生の息子がキャンパスで授業があると朝早く出かけていった。入学式のないまま始まった学生生活、オンライン授業が主流となって対面授業が出来た日は数えるほどしかない。そういう時代だから仕方ないのだと、嫌というほど言われてきただろうし私もつい言ってしまう。

もう30年以上も前、初めての新入生歓迎コンパで連れて行かれたのは京都大原の民宿だった。大学でも飲み会が激しいと評判のサークルと後になって知るのだが、鍋の蓋にビール1本注いでイッキ!イッキ!をやっている横で課題をしている学生がいたり、倒れたり吐いたりがあっても次の日はちゃんと文化財見学したりする。それで何かが変わった訳ではないけれど騒がしい印象的な学生生活の始まりだった。

大原には中学校から遠足で来たことがあり、あいにくの雨だったけれど寂光院や三千院を見て回って漬物など買って帰った。国語の先生は「大原御幸」の舞台をしっかり見てこいと言ったけれど、箸が転がっても可笑しい年代にぞろぞろ連れ立って観光バスで行ったところで何を感じられよう。建礼門院?後白河法皇からしたら息子の嫁でしょ?キモ!あーぁ、嵐山のタレントショップとか清水寺とかの方が良かったなーてな具合である。

今は京都市営地下鉄が国際会館まで延びているから、そこからバスでも20分ほどで大原に着く。市街中心部から京都バスで行くしかなかった頃は、観光シーズンなど交通渋滞に巻き込まれたりして結構行きも帰りも時間がかかったものだ。それこそ歩くしかなかった時分は都から離れた静まりかえった山里であり、そのまま北へ向かう道は若狭街道となって滋賀県大津市の途中越や花折峠を経て福井県に至る。

大原の名物といえば茄子・胡瓜・茗荷などを紫蘇の葉と漬けたしば漬け。なんでも建礼門院徳子が好んで紫葉漬けと呼んだことからしば漬けと言われるようになったとか。小さい頃はあの茗荷がちょっと苦手だったけれど、祖母が出刃包丁で細かく刻んでくれたものは食べられた。京都の漬物なら「「千枚漬け」「すぐき」もあるが、しば漬けの赤紫と独特のクセは田舎なのに鄙びていない大原里の印象に重なって別格に思える。

時代や価値観の変わる節目に生きた人がいて、何を思い次に繋げていったか、今なら想像することもできそうに思う。後白河院は南都焼討ちで失われた奈良東大寺の再建に尽力し、大仏開眼には周囲の反対も聞かず正倉院から筆を持ち出して自ら目を入れたという。新しい時代の風は大原にも届いただろうか。
          【TVCM】JR西日本 2008年 盛秋「大原・三千院」そうだ 京都、行こう。

2020年3月28日土曜日

この世界の片隅に思う

コロナウィルスの影響で、日常当たり前と思っていた生活が簡単に覆されることにただ驚いている。ほんのちょっとした風邪みたいな病気一つで、ここまでの影響があるなどどれだけの人が予想できただろう。

息子の入学する学校も授業開始は大幅に遅れており、オリエンテーションの日程も未定で本人は大いに不安がっている。学びたくても大きなうねりの中では、何かの拍子に機会が奪われることだってあるのだ。海外の首脳が言うように「これは戦争」なのだろうか。

かつて日本にも時代の中で進路を翻弄された人たちがいた。やはり、太平洋戦争の体験はまだ生きた人が伝えてくれる貴重な情報だ。「対馬丸」でもいい、「この世界の片隅に」でもいい、それぞれの立場で自分がどうなるかどう行動するか考えてみたい。



2020年2月29日土曜日

自然が呼べば豚が答える

新型コロナウィルスの影響で息子たちの学校は休みになるし、何でも自粛ムードでやたらに長い休みを持て余しているようです。まぁ頑張ってくれ。

彼らが小学生の頃は夏休みに読む本など何冊か用意しましたね。高学年ともなると子供が読みやすい文体で大人が読んでも面白い内容のものを探すのは結構難しい。感想文を書くには妙に入り込んでしまう小説より、ルポやドキュメンタリーの方がいいと思って選んだのがこれ。

西村大 『食べ物と自然の秘密』小峰書店 2003年
偏食のかたまりみたいな長男が興味を持つかと手にとったら、やはり小学生男子を引きつけるアレがありました。小学生男子が一度は通る漫画雑誌「月刊 コロコロコミック」小学館 の内容もざっと8割はう○この話ではないかと思われます。低学年男子の頭の中もね。

それはともかく、家畜として豚を飼うのに人の排泄物を餌とする文化が近年まで続いていた由、日本でも沖縄や奄美でもよく見られたとのこと。その辺りは想像に難くないけれど、漢代・三国時代の墓から出土した豚便所の模型にはちょっと衝撃でした。構造としては階上の小屋で用を足すと穴からオートマチックに落下したものを、豚が階下で待ち受けるシステム。都市に人が集中し大量の食糧を賄うため町の中で豚小屋を作る必要性が出てきた表れだとか。豚は羊や牛のように草を消化できないので基本的には人と同じものを食べることから、少しでも餌を減らしたい思いで生まれたのがこの豚便所なのです。

衛生面はともかくこのコストカットシステムトイレが現代に伝えられるのは、漢代の墓に副葬された陶製模型があるおかげと言えます。もちろん穀物倉もセットにしてるけど、ご飯があったらお酒もおかずも持たせてあげたい。愛するあなたへ贈る言葉♬ あの世にも食と排泄が必要不可欠であることを豚便所は如実に物語っています。

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2020年2月27日木曜日

柳をひと枝。新ブログ開設までのつなぎ

新しいブログを作るのが諸般の事情で遅れています。
サーバーはどこにしようか、WordPressを使うならどうこうとか、調べ作業が必要です。
とりあえずこちらも続けるということで。

私の日頃頼りにしている片頭痛の頓服薬が数日前、底をつきました。大体3、4ヶ月おきに処方してもらっていて、それとは別に普通の軽めの頭痛の時は市販薬を使います。あまり量が増えないようにとは言われているので5、6年前に比べると頓服も市販薬も減ってきた方だと思います。

さてその解熱鎮痛剤。古代中国は漢の時代、長安を立つ旅人に柳の枝を折って手向けたという故事があるそうです。柳の枝は字の通り楊枝として、あるいは馬の鞭に使ったり何かと重宝だから。加えて樹皮にサリシンという抗菌・鎮痛・解熱作用があったからといいます。これは大学の一般教養の講座で偶然に居眠りせずに聞いていて知りました。

柳はラテン語でサリックス。ここから成分はサリシンと名付けられた後、物質の構造を変えて副作用を抑えたサリチル酸さらにアセチルサリチル酸がつくられました。これがあのアスピリンの主成分になります。(参考:田中修『植物は人類最強の相棒である』PHP文庫)
今考えると幼児にどうなの?と思いますが、5歳くらいから「サリドン」は愛飲していました。これもサリですね。

いつまでもお元気で。柳をひと枝。またいつか会う日まで。


2020年1月28日火曜日

不老の秘薬

陳舜臣『秘本三国志』実はまだ最後まで読めていません。そろそろ赤壁の戦いに向けて曹丕が水軍の訓練を云々という辺りなので、ゆっくり楽しみながら読みたいと思います。

好きな登場人物は、と聞かれたら曹操は別格として呉の周瑜なんかいいですね。
諸葛亮に負けじとひたすら努力するけど、報われなくて怒りのあまり血イ吐いて死んじゃう。戦いに明け暮れる男たちの性格もそれぞれ、吉川三国志で登場する人数は実に839人、自分に似ている人物もみつけられるかもしれませんね。

『秘本三国志』は秘本とするだけあってフィクションも多く「桃園の誓い」とか「美女連環の計」とかいわゆるおなじみのエピソードはあまり描かれません。

代わって架空の人物が中心となってストーリー展開しているのが特徴です。

なかでも漢中に勢力を張った宗教「五斗米道」の教祖である張魯の母、小容という女性が物語のキーパーソンで、諸葛亮を早くから見出し「天下三分の計」を語らうといった設定。秘薬を使って40歳を超えても若々しく、人を虜にする魅力に溢れた女性なのです。群雄割拠の時代をどう治めるか、常に太極を見て動くが自分に残された美しさを保てる時間は幾ばくもない。

作品には何人も魅力的な美女が登場し、様々な地で能力を発揮して時に妖艶、時に清楚。陳先生の描く女性はクオリティーが高くて憧れます。


2020年1月27日月曜日

三国志、若葉マーク。

昨年いきなりリビングのテレビが映らなくなって買い替えを余儀なくされました。
せっかく新しくなったテレビでなにか観てやろうと思い、ふと思い立って選んだのがこれ。三国志 Three Kingdoms 

曹操の董卓暗殺未遂から諸葛亮・司馬懿の対決まで40分くらいのドラマを全95話まで、つまらないメロドラマのところを飛ばしつつ一気に観てしまいました。中国のドラマなので曹操をひいきにした展開。R指定なしに安心してお子様から楽しめる内容です。

初めての三国志。2018年、河南省で2009年に発掘された墓が曹操のものと認定されたそうです。卑弥呼の時代とかぶるんです。魏志倭人伝ですよ。何でも大分県の古墳から出土した鏡が曹操墓の鏡とそっくりなんですって。そんな関係でちょっとした三国志ブームが起きてるみたいです。

ずっと気になってたんです。三国志の登場人物の名前をスラスラいえる奴とか同級生にいたりしませんか?あんなにややこしいのによくも覚えられるものです。そこでこんな本『三国志ナビ』(渡邉義浩 新潮文庫)を手元に置いたら、別に検索しもってドラマ観たらええやん🎵となりました。

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ナビを読んでいると吉川英治の三国志が、だいぶ日本人向けに味付けされていることが分かりました。劉備の母(架空の人物)が、お前は漢の末裔ということを忘れたか!と言って怒ったり、董卓と呂布が奪い合いした「美女連環の計」で登場する貂蝉が不貞を理由に自殺するとか。

三国志演義では英雄でも、一番性格が悪いのは劉備と決め込んでいるので、次に選んだのはこれ。『秘本三国志』陳舜臣です。こっちはR指定ですぞ。(つづく)

2020年1月25日土曜日

君主たるもの

今日の漫画は「チェーザレ 破壊の創造者」惣領冬実(モーニング不定期連載中 1-12巻)です。

チェーザレ=ボルジアはイタリアルネサンス期の軍人・政治家で、レオナルド・ダ・ヴィンチが惹かれ、マキャべッリが著書『君主論』の中で、冷酷非道ながら「君主の理想」として紹介した人物。

イタリア史に詳しい方は『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』塩野七生 などでお読みになっているかと思います。が、日本の研究者は少なく翻訳された本も少ないのだそうで。

漫画の「チェーザレ」では監修にダンテ学者の原基晶を迎え、本邦未訳のG・サチェルドーテ版の伝記を翻訳しながら描いているというから、気合の入りようが段違い。ただ単行本が4年待ちとかなのはもどかしいです。その間に少しくらい勉強しとけってことですかね。

ピサの学堂にフランス、スペイン、イタリアの貴族の子弟が集まって共に学び、戦争さながらの十字軍を模した「騎馬試合」、教皇選挙コンクラーベの様子、ミケランジェロがシスティーナ大聖堂の天井画を描く前の天井画の復元を試みる(星空の絵)など、時代考証にも手を抜きません。

絵は少女漫画系なんですがほとんど恋愛なし、辛口のストーリー展開。西洋史にあまり詳しくなくても、ビッグネームな有名人が登場して飽きないしルネサンス期から大航海時代へつながる頃の躍動感は伝わってきます。次号、期待してます。

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2020年1月17日金曜日

君が袖振る

額田王は大海人との間に一女をもうけた後、天智天皇に嫁ぎ、壬申の乱の後再び後宮に戻されたとのことであるが、悲恋のヒロインである見方は実は薄い。井上靖の小説の影響もあるだろうが、妻としてより巫女としてのパワーを買われての採用というのが有力だ。
そのへんを下敷きに

額田の
「あかねさす紫草(むらさき)野行き標野(しめの)行き 野守は見ずや君が袖振る」

大海人
「紫草のにほへる妹(いも)を憎くあらば 人妻故に我恋ひめやも」

のシチュエーションを思えば大陸的ドライ感満載である。

大海人「おーい、元気にしてる?愛してるよぉ!」
額田 「そんな大きな声で、何いうてんねん。うちもう行くわ」
大海人「おらんようになったら急に寂しなってん。相変わらずきれいや。好きやで!」


気候と人の考え方

日本史といえば応仁の乱から安土桃山時代、中国史といえば三国志というくらい、群雄割拠の時代は現代社会に擬えやすいこともあって人を魅了してやまない。

最近は気候変動で歴史を紐解こうという試みもあって、日本の戦国時代は乾燥して日照りが多かったとか、三国志の頃は温暖化の反対で寒冷化が進んで南下せざるを得なかったとか当時の記録と考古学的な調査で少しづつ明らかになってきている。
「三国志」の動乱は実は寒冷化の産物だった気候変動や遊牧民との関係で読み解く中国史

人の考え方も気候や風土によって変化するとの見方もあって興味深い。
記紀万葉の頃は大陸的、平安中期以降は国風文化と言われるが文学的に流行したものだけ残されていると言って良いのではないか。

万葉集は貴族階級だけでなく様々な立場の人の歌が集められているので文学的にも考古学的にも研究材料として注目されつづけている。一般的に為政者の歌は傲慢であっけらかんとしていてドライなイメージがあり、中間管理職の歌はほろ苦く、労働者階級は故郷の家族や生活苦を歌う。

万葉きっての女流歌人といえば額田王であるが女帝斉明天皇の代歌として詠んだ
「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」
(難波津を出発し伊予の港で停泊していた船団の士気を上げるための歌)が代表格。

百済の王子奪還?えー?なんで同盟国にここまでしてやらなあかんの??みたいな雰囲気もあったんじゃないかと思う。「さぁ、参りましょう!」なんてパワフルな歌も虚しく、まもなく筑紫で斉明天皇は崩御し、代わって政権を継いだ天智天皇による白村江の戦いではボロボロに。半島から亡命してきた渡来人の扱いをめぐって天智天皇VS大海人皇子の争いに発展していく。



モーニングページを始めようと思うけれど

とり合えず始めてみようということが、できない。たぶん消しゴムを使うことに慣れると、そばに消しゴムがないと落ち着かなくて勉強できなくなったりするようなものかとも思う。だからこそ手書きでどんどん買いていく作業が私には必要なのかもしれない。 もやもやする、何か上手くいかない、そんな時に...