2020年1月17日金曜日

君が袖振る

額田王は大海人との間に一女をもうけた後、天智天皇に嫁ぎ、壬申の乱の後再び後宮に戻されたとのことであるが、悲恋のヒロインである見方は実は薄い。井上靖の小説の影響もあるだろうが、妻としてより巫女としてのパワーを買われての採用というのが有力だ。
そのへんを下敷きに

額田の
「あかねさす紫草(むらさき)野行き標野(しめの)行き 野守は見ずや君が袖振る」

大海人
「紫草のにほへる妹(いも)を憎くあらば 人妻故に我恋ひめやも」

のシチュエーションを思えば大陸的ドライ感満載である。

大海人「おーい、元気にしてる?愛してるよぉ!」
額田 「そんな大きな声で、何いうてんねん。うちもう行くわ」
大海人「おらんようになったら急に寂しなってん。相変わらずきれいや。好きやで!」


どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...