2020年1月11日土曜日

父、不在。

父がまだ若く長い入院生活から帰ってきて復職したばかりの頃だ。
日曜になると4、5歳くらいの私を日産サニーに乗せて琵琶湖のほとり膳所公園までドライブに連れて行ってくれた。近江大橋を臨んで湖面にさざ波が立ち、小さな淡水の貝殻を拾ったりして遊んだ。帰りはESSOの2階がファミレスになっていて、白いレースペーバーを敷いた銀色の器にウェハースのついたアイスクリームを食べるのが楽しみだった。

高い、高い、東京タワー見えるかな?
パパ、タバコ臭い。

少し大きくなると琵琶湖バレイでスキーを教えてくれた。
身体の前で抱えてボーゲンを、右にターン、左にターン。
上手、上手。

ずっと一緒にお風呂も入っていた



10歳くらいから私が娘らしくなってくると、もうどうして良いか分からず
父は私と距離を置くようになってしまった。

母曰く、「あの人は子どもだからね。」
自分の父である祖父と何かと比べてしまうらしい。

父と娘。微妙な関係だ。

どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...