2020年1月23日木曜日

へうげもの讃

漫画が好きだ。なんでも良いわけではないが表現が自由で、映像よりも言葉があるだけに印象に残りやすい。良質な漫画は何度も読み返したくなるし、そのエッセンスは引き継がれていくから少々荒削りでも世に出すべきだと思う。

今日ご紹介するのは、山田 芳裕 「へうげもの」(講談社「モーニング」連載2005〜2017)。
古田 重然(茶人としては古田織部の名で知られる)の半生を家康暗殺の嫌疑で切腹するまでギャグ満載で描く。
茶道が形成されていく時代の躍動感、茶の湯コーディネーターとしてのエキセントリックな性格が大袈裟な表現ながら引きこまれていく。

一話一話、タイトルに懐かしのヒット曲やロックナンバーがパロディとして使われており、これも一種の「本歌取り」の妙がある。
第一話 君は"物”のために死ねるか!? (君は人のために死ねるか/杉良太郎 1980)
第二話 黒く塗れ!(Paint it Black/ The Rolling Stones 1966
第三話 碗LOVE (One Love/Bob Marley 1979)
といった具合にアラフィフ以上の読者の心をわしづかみする。

第一話は信長の命で松永弾正久秀に名器「平蜘蛛」の茶釜を渡せば裏切りを許すから投降するよう説得に行く話。史実ではないらしいが信貴山城で爆死するシーンの必死な笑いは漫画ならではの表現と思う。

今年の大河ドラマ「麒麟が来る」で登場した吉田鋼太郎演じる松永弾正も大いに漫画っぽくアニメに親しんだ若い人受けしそうだ。ゲームの影響もあって戦国のちょい悪オヤジの人気も上がっているようで、安土城のヒントになったくらい派手だったという多聞城趾なんかも訪れて歴史に思いを馳せてみて欲しい。

生か死か。武か数寄か。それが問題だ!!



どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...