2020年1月8日水曜日

同時進行という概念 その4

現在に時間を戻す。
PC画面の小さな人形のマークをクリックするとユーザーが切り替わる。パスワードで保護されていて、ファイル等は共有しない限り独立した環境でお互いを干渉しない。実際には無制限というわけでないが、望めばアカウントはいくつも作ることができる。いわばパラレルワールドである。

壁紙の雰囲気を変え、仕事用とプライベート用と気持ちを切り替えたりする人もあるのだろうか。切り替えの苦手な私は現実の暮らしでさえ、そこに自分が本当に存在するのか不安になることがある。かつてアルツハイマー性認知症だった義母が言っていた、「いつも夢を見ているみたい」な感覚を実は常に感じて生きている。

どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...