父がWindows3.1搭載の一体型パソコンを量販店で買ってきた頃から、少しずつパソコンに親しんできた。それまで黒い画面に蛍光色の文字が並んで、ベーシックを組んで計算するとか理数系科目に弱い私には無縁の世界と思っていたのに、白い画面に絵がついていたりゲームできたり面白そう。尤もインターネット普及以前の話である。
父は理系のくせにワープロをちょっと使う程度で結局飽きてしまったが、私たち20代は物凄いスピードでネット社会の濁流に飲み込まれていった。米国の学生は一人一台コンピューター持ってるらしいよ、Macってワープロの字はひどいし日本語変換は「書院」の方が優秀だよね、「一太郎」って使えるの?そんな会話に入れないまま研究室を中退したんだった。せっかくパソコンがあるなら使ってみたい。
デスクトップに複数のソフトを立ち上げて切り替えながら使い、ファイルをフォルダに入れてしまう。机の上に本とノートと辞書を出して作業し、ノートにラベルを貼って棚にしまう。実務をすれば1日で身に付くところを、のろのろと迷走しながらイメージしていく。
2020年1月8日水曜日
戦後80年
戦後80年の今年、そろそろ「戦後」という言葉をやめようかと言われている。1945年の終戦から遡って80年といえば幕末であり、いくらなんでも時代区分としても大雑把すぎるのではということだろう。もちろん「戦前」「戦後すぐ」という短い期間を指す言葉としては今後も使われるだろう。 明治...
-
慶応年間生まれの曽祖母は13人の子を生み育てた。当時でも経済状態や体力などの条件が揃わなければ叶わなかったのだが、令和の世には2人も産めば多い方になるらしい。どんな時代にもそれぞれの個人の事情があったはずだが、生き方に多様性が求められた結果なのか特に女性の場合大小様々な条件がつ...
-
祖母の住んでいたサービスつき高齢者住宅には1号館と2号館があって、ケアの必要度に応じて棲み分けることができる。はじめに祖母が入った2号館は食堂と別棟になっていてお風呂は共同、基本的には賃貸ワンルームマンションである。トイレとミニキッチンが付いていて、洗濯や買い物サービスも頼める...
-
庭でカネタタキが鳴いている。体長1cmほどの薄茶色の虫でコオロギのような姿をしているが、声の大きさに反してとても小さいので見つけることは難しい。「チッチッチ」と金属のような音を出すことからこの名がついたという。カネといってもゴーンとつく「鐘」ではなく、仏間にあるか若しくは手に持...