2020年1月8日水曜日

同時進行という概念 その2

父がWindows3.1搭載の一体型パソコンを量販店で買ってきた頃から、少しずつパソコンに親しんできた。それまで黒い画面に蛍光色の文字が並んで、ベーシックを組んで計算するとか理数系科目に弱い私には無縁の世界と思っていたのに、白い画面に絵がついていたりゲームできたり面白そう。尤もインターネット普及以前の話である。

父は理系のくせにワープロをちょっと使う程度で結局飽きてしまったが、私たち20代は物凄いスピードでネット社会の濁流に飲み込まれていった。米国の学生は一人一台コンピューター持ってるらしいよ、Macってワープロの字はひどいし日本語変換は「書院」の方が優秀だよね、「一太郎」って使えるの?そんな会話に入れないまま研究室を中退したんだった。せっかくパソコンがあるなら使ってみたい。

デスクトップに複数のソフトを立ち上げて切り替えながら使い、ファイルをフォルダに入れてしまう。机の上に本とノートと辞書を出して作業し、ノートにラベルを貼って棚にしまう。実務をすれば1日で身に付くところを、のろのろと迷走しながらイメージしていく。

どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...