2020年2月11日火曜日

知られざる生殖の世界

日本産科婦人科学会の発表によると、2017年に出生した子供のうち16人に1人にあたる5万6617人が体外受精によって生まれたという。

「国際生殖補助医療監視委員会(International Committee Monitoring Assisted Reproductive Technologies:ICMART )」が2016年に発表したレポートによると日本の体外受精の実施件数は25万件以上と、2位のアメリカ20万件を大きく引き離して先進国含む60ヵ国中ダントツのトップを誇っており、日本はまさに不妊治療大国である。

にもかかわらず出生率となると日本は採卵1回当たりの出産率が6.2%しかなく、60カ国中なんと最下位なのだ。この原因として晩婚化・晩産化の影響が挙げられるとされ、日本の体外受精は女性が40歳以上の治療が32%と3人に1人を占めている(日本産科婦人科学会の2010年の統計による)。

さらに自然志向の影響からか採卵のための排卵誘発剤の使用を遅らせる傾向も指摘されている。20年前の私の場合、体外受精までは幸い行かなかったが排卵障害であることはエコーですでに分かっていたにも関わらず、多胎のリスクなどを考慮して促進剤の服薬は1年経ってからだった。確かに多胎となれば上手くいっても相当の期間入院生活を強いられるだろうし、まともに育てられたか疑問であるが。

私の世代でも結婚式の時に妊娠中のカップルは珍しくなかったし、今や「授かり婚」といって不妊リスクもクリアしていると大変喜ばれるようになっている。むしろ親たちなど周囲の「押し」すら期待できない今、授からないと結婚に踏み切れないというのが現実のようでもある。

35歳以上の高齢出産には低体重児や先天異常のリスクも上がる。生まれて1年未満の死亡率の低さは日本が世界一である一方で、経管栄養や気管切開の必要な医療的ケア児の数はこの10年で2倍の18000人に増えたという。当事者の親御さんには大変な負担であろうと思う。

いずれにせよ、日本の少子高齢化はもう歯止めがかからなくなっているようだ。
私にもし娘がいたら「産むなら20代のうち。自分の手で育てられるとは思うな。」と言うだろう。女性の生殖年齢は寿命とは全く関係なく、大昔から変化がないことを早いうちから知って欲しい。




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