2020年3月2日月曜日

酒と泪と女と花と

かつて義母が認知症が進んで一人暮らしが限界に来た頃、肝炎による肝硬変も相当に進んでいた。少しのアルコールも身体に応えたに違いないのに、そんな事も忘れてスーパーでワンカップ大関とスプーン印の砂糖1kgパックを買ってきてしまう。ワンカップの方は飲み切ってしまうが、砂糖は直接!?食べるのか封を開けたものがそこかしこに置いてある。

介護サービスを使いつつ、主治医に告げられた通り5年後肝癌になって亡くなった。介護施設ではフラワーアレンジの日が楽しみで、うちに帰ってからも毎日生け替えたり庭の草花を摘んで添えたりしていた。

だから棺の中は白装束に菊とかじゃなくて華やかな洋花でいっぱいにしてあげよう。
独特のパーマスタイルに濃いアイライン、タバコをふかす厳しい人生もあったろうけど、施設ではすごく可愛いおばあちゃんで通ってた義母なのだ。

しかしその思い遥か。

小さな事務所を営んでいたときは、すぐ「社長」「社長」とたかってくる連中に御馳走してしまう義父に苦労して、元から好きだったお酒をひっかけながら子供たちの夕飯を作るうちに酒量が増えていったとか。加えて身体のしんどさに安易に受けた点滴の針が使いまわされていたらしく、肝炎に罹ってしまった。

そのイメージがあまりに強かったのか、親類筋は「酒、好きだったよなぁ。いっぱい飲めよー」などと言いながら、お棺の中にドボドボと注ぎ込み出すからもう仰天で。「顔はやめてー」の声も虚しくおじさん達は後から後からもう浸るかと思うほどかけまくり、辺りは日本酒やらウィスキーの匂いぷんぷん。

お花もお酒もたぶん喜んでくれたんじゃないかと、思っています。
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どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...