介護サービスを使いつつ、主治医に告げられた通り5年後肝癌になって亡くなった。介護施設ではフラワーアレンジの日が楽しみで、うちに帰ってからも毎日生け替えたり庭の草花を摘んで添えたりしていた。
だから棺の中は白装束に菊とかじゃなくて華やかな洋花でいっぱいにしてあげよう。
独特のパーマスタイルに濃いアイライン、タバコをふかす厳しい人生もあったろうけど、施設ではすごく可愛いおばあちゃんで通ってた義母なのだ。
しかしその思い遥か。
小さな事務所を営んでいたときは、すぐ「社長」「社長」とたかってくる連中に御馳走してしまう義父に苦労して、元から好きだったお酒をひっかけながら子供たちの夕飯を作るうちに酒量が増えていったとか。加えて身体のしんどさに安易に受けた点滴の針が使いまわされていたらしく、肝炎に罹ってしまった。
そのイメージがあまりに強かったのか、親類筋は「酒、好きだったよなぁ。いっぱい飲めよー」などと言いながら、お棺の中にドボドボと注ぎ込み出すからもう仰天で。「顔はやめてー」の声も虚しくおじさん達は後から後からもう浸るかと思うほどかけまくり、辺りは日本酒やらウィスキーの匂いぷんぷん。
お花もお酒もたぶん喜んでくれたんじゃないかと、思っています。