チンパンジーもゴリラも寿命の終わり近くまで子を産み育てることができるというのに、ヒトの女性の繁殖期間のなんと短いことか、嘆かわしい。
今のところ、閉経後も長く生きる生物はシャチなど一部の海洋哺乳類に限ることがわかっている。シャチはオスが50歳くらいで寿命を迎えるのと対照的に、メスは40歳くらいで閉経し、90歳くらいまで生きるものもいるという。調査では孫の面倒をみる習性が数多く確認されており、閉経したメスのいる群れは子供のシャチの生存率が高いという。
生物学の福岡伸一先生(「動的平衡」でご存知の方も多いはず。私にはとても難しいのだけど)によれば、こうした孫育てによる子孫繁栄を目的とするのもヒトの長生きする要素とも言えるが、それだけでは説明が不十分だと言う。
確かに女性の場合、出産・子育て期間に月経が止まることで身体への負担を軽減することができる。母乳育児で乳がんリスクを下げるという研究報告もある。しかし子供を作らないからと言って寿命が短くなることはない。
「ヒトは知能を得て、遺伝子というものの存在を知り、その企みを知った。そして遺伝子の企み熟知した上で、なお、種の存続よりも個の存在が重要だという思考に価値を見出した初めての生物となった。」講談社オフィシャルウェブサイト なぜヒトにだけ「長い老後」があるのか? 生物学者・福岡伸一の答え
結論として、「老いる」ということは自由になること、なんだそうだ。
実家の母は一人しか子供を産めなかったが、二人の孫の成長を見守ることができたのが何よりの幸せと言う。母に自由はあったのだろうか。私はもし叶うなら孫の顔も見たいと思うけれど、自由になる感覚も味わってみたい。
実家の母は一人しか子供を産めなかったが、二人の孫の成長を見守ることができたのが何よりの幸せと言う。母に自由はあったのだろうか。私はもし叶うなら孫の顔も見たいと思うけれど、自由になる感覚も味わってみたい。