2020年6月21日日曜日

人生は誰のもの

岸見一郎『愛とためらいの哲学』(2018 PHP新書)をまた開いている。
アドラー心理学の国内第一人者である著者の『嫌われる勇気』は135万部というミリオンセラーとなり、勧められて読んだがこれも何度も読むことになる本かと思う。要は必要な時に必要な箇所を読むべき本のジャンルなのかもしれない。

外出自粛でカプセルに閉じ込められ、宇宙空間に放り出されたような気分が続いている。部分的に日常は戻ってきているが、一度分断された繋がりはもう元に戻らないような気もする。ことわざとか慣用句で、うまい例えが見つからない。強いて言えば咫尺天涯というのかな、ものすごく近いのにものすごく遠い、取り残された感。

神経が過敏になり感度が上がりすぎているのだ。本書によれば、そんな自然発生的な要因を言い訳にして何でもありにしてしまうのは良くないという。多くの行動は衝動や本能によるものではなく、愛もまた然り、怒りのような感情すら自然的なものではないと。制御不能と思っていた感情は、実は自分の決心一つなのだ。

もしも衝動を抑え行動を制御することができれば、人生はもっと自由に意のままになるだろう。制御不能で破壊的になる前に、少し冷静になったら自分の求める方向が見えてくるだろうか。

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愛とためらいの哲学 (PHP新書) [ 岸見一郎 ]
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幸福は甘くなかった

 福田恒存『私の幸福論』(ちくま文庫)を読む。平易な言葉で語られる、その内容は深く重厚で何度も読み返すことになると思った。昭和30〜31年にかけて講談社『若い女性』という雑誌に「幸福への手帖」と題して連載された。もう70年ほど前の文章だから、社会の事象は大きく変貌して日本人の生活...