2020年7月7日火曜日

怪人は心の中に

イタリアの作曲家エンリオ=モリコーネ(91)が亡くなった。
モリコーネといえば真っ先に出てくるのが「ニューシネマパラダイス」、トト少年が足繁く通う乾いた田舎の映画館。是非近いうちネットでレンタルしよう。

当時不謹慎だという理由で検閲でカットされたフィルムを、映画監督となった少年が見るシーンが観客をもうとにかく胸いっぱいにしてくれる。一点のためらいもない甘く切ないモリコーネの音楽あってこそ、無音で見たら何といういうことはないキスシーンの羅列なのである。

もうひとつ映画音楽としてオペラ座の怪人(1998年)も担当しているようだ。動画でちょっと見たけれどどこがモリコーネなのかよく分からなかったが。映画も古くは1925年、新しいのは2004年のものなどいくつか作品があるがこの映画(1998年ダリルアルジェント監督)はかなり暴力的でホラーが入っており、怪人はロック歌手みたい。

1990年代日本でもミュージカルがブームで「オペラ座の怪人」の他、「コーラスライン」や「CATS」、「ライオンキング」などブロードウェイミュージカルを劇団四季が日本語で演じた。都心に贅沢な劇場が出来たり看板を見ているだけでワクワクするようなムードだった。

学生時代に頼りなげに終止符を打ち、阪神淡路大震災の直後だというのに、いいから行ってこいと送り出してもらった友達との欧州旅行。食中毒にやられた青い顔で買い物にやってきましたピカデリーサーカス。Tower RecordsやGAP、無印良品が目抜き通りを埋め、ハロッズのアフタヌーンティーは中華系のおばちゃんが給仕してくれた。ここでなければ出来ないことといえば、ミュージカルでしょ!てなことでチケットショップで買ったのが「オペラ座の怪人」。これなら英語がさっぱりでも大丈夫。

衣装も舞台も音楽も素晴らしかった!次はオペラ観ようと思いつつ、およそ劇場というところは以来行く機会もなかったが、今も微かに鳴っている
♫ The Phantom of the opera is there〜 inside my mind ...

動画:オペラ座の怪人 25周年記念公演inロンドン名場面 Mascarade





幸福は甘くなかった

 福田恒存『私の幸福論』(ちくま文庫)を読む。平易な言葉で語られる、その内容は深く重厚で何度も読み返すことになると思った。昭和30〜31年にかけて講談社『若い女性』という雑誌に「幸福への手帖」と題して連載された。もう70年ほど前の文章だから、社会の事象は大きく変貌して日本人の生活...