2020年10月19日月曜日

岐路に立つ

いわゆる更年期ど真ん中にいる。この歳になるまでに蓄積した性教育の知識を役立てたいと思いつつ、伝えたい相手がいないのがもどかしい。息子には刺激が強すぎるし娘はいない。

女性は胎内で既に一生分の卵細胞を持って生まれ、初潮から基本的にひと月に1個ずつ卵子をつくる。1回1ダースくらい細胞が出てきて成長の良さげなのが1個選ばれ、あとはその栄養になるという。

卵巣から飛び出した卵子は受精すると細胞分裂を繰り返しながら子宮粘膜に潜り込んで根を生やし、受精しなかったものは剥がれた子宮粘膜と共に排出される。若くて身体が整っていなかったり歳をとって無排卵月経の時もある。妊娠中はもちろん月経そのものがないし授乳期が長いと開始が遅れる。卵細胞の賞味期限は35歳くらいで消費期限には多少個人差がある。

たぶん私は数年以内にフェードアウト的に閉経ということになるのだろう。初めは発育不全、妊娠・授乳期も長々とおやすみしてきたので平均的な女性よりは楽であったのかもしれない。望むと望まないに関わらず繁殖期の女性は毎回、妊娠したかY/N の選択をしている。Yに進んだら、直ちに妊娠を継続するY/Nの選択肢があり、どちらに進んでも分娩台で痛い思いが待っている。

母子保健法では妊娠がわかると速やかに役所へ届けることが義務付けられている。遅れても構わないが母子健康手帳の交付により様々な特典があり、胎児(胎芽)は守られるべき国の民と認められる。今月遅れているかな…でほぼ妊娠3週、検査薬で線が出るのは4週以降、5〜6週でつわりが出る。薬や飲酒、喫煙の影響が最も出やすいのはこの初期段階だ。何らかの原因で自然に流れることもよくある。

5週といえばエコーでみると心臓はまだ2室だけどしっかり拍動しているし手足の原型も。私の最初の妊娠は残念ながら心拍が確認できず、流産処置をした。基本的には人工中絶と同じで全身麻酔後、器具で子宮口を広げて大きな耳掻きみたいなので内容物を取り出す。

これが妊娠継続していて12週を超えてしまうと薬で陣痛を起こして出産と同じ処置となるから危険度も増す。妊娠4ヶ月、体長は6cmもう男女の区別もあり手指もできてヒトらしくなってくるという。12週以降は死産届、出てきて少しでも生きていたら出生届と死亡届を提出する。実際中絶手術で出てきた胎児が声を出すこともあるらしい。

さらに妊娠継続Yを選択すると出生前診断を受けるY/Nの選択肢がある。ダウン症をはじめとする染色体異常を早期に発見するねらいがあり、結果として妊娠継続Nも選択肢に含まれる。

どの選択肢をすすんでもそこには誰かいる。その人を一人にしないでと願う。


どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...