2021年8月16日月曜日

プレミアムで行こう

 対コロナ地元経済対策として今年もプレミアム付商品券なるものを地方自治体が販売、希望者の中から抽選で当たったらしいので2冊購入した。1冊1万円につき3千円のお食事券がついてくるのだが、買い物や食事であっさり使い切った。正直のところ現金払いが少なくなった今はポイント還元の方が使い良かったし、精算の手間など少なからずお店の負担もあったのではと思う。

私の住んでいる町では抽選だったが、住民税非課税世帯のみ申請可能の市町村もあって使う時貧乏人だとアピールしているようで恥ずかしいからと購入をためらった人もいるらしい。商品券発行の意図を、経済活性か経済支援なのかはっきりさせた方が良い。後者であれば何にでも換えられる現金であるべきだ。

さてこのプレミアムは「付加価値」ひいては「おまけ」の意味で、商品券にプレミアがついて割増で売買される訳ではない。ついでにいうとPremierは「第一の」「最初の」「初日公演」でありサッカープレミアリーグのようにカタカナでもpremiamとは使い分けされている。

付加価値といえば茶道具が典型だろう。「千利休から古田織部、小堀遠州と伝わる大名物で今は藤田美術館の所蔵でございます」といった具合に所有者の箱書きが増えるごとに付加価値が高まっていく。返せば箱書きがなければただの工芸品に過ぎない。

小さな電線会社を興した祖父は、酒が弱く営業や接待ではことさらに知恵を絞らねばならなかった。もっとも若い頃勤めていた〇〇電工ではそんなワガママが通用するはずもなく、ネクタイを鉢巻にして裸でお盆踊りをやらされたそうだ。出自は田舎でも自分の会社ではそういう泥臭い営業はすまいと決めていたとかで、当時ではまだ高級だったホテルランチで商談したり、奥様やお嬢様宛に銀座和光からスカーフやドールハウスを届けさせたりした。陶芸が流行りだすと丹波や信楽の窯元へ足繁く通って新進気鋭の作家を探し、これはという壺や花入を取引先に持っていって大いに喜ばれたという。

高麗の飯茶碗でも利休の手にかかれば大名物になりうるように、知恵とセンスで付加価値は生まれ経済は回る。本当にプレミアムな商品券でなくても、手にとれば元気が出るような楽しいこと、何か考えないとなぁ。



ガチャガチャのカプセルトイにこんなものがあったなんて! 
ひとつ300円の大名物。 
注:現在販売されていません。

 


どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...