たまに朝電車に乗ると職場や学校へ向かう人の若さよ!もちろん同年代もいるにはいる。見た目は若さを求められても発言は年齢相応でなければならない、上から下からの目線が気になる50代。体力は年々衰えるのに、精神は全然成熟しないで時間だけ経ったような気分なのは私だけか。もう次世代が主役になっていることを自覚せよってね。
新聞で不妊治療者に向けた特別養子縁組の告知についての記事を読む。(「産みたいのか、育てたいのか 不妊治療と特別養子縁組」日経新聞2022年7月21日 ) 2022年には693件の特別養子縁組が成立し10年前と比較して約2倍の増加という。法的にも実子扱いとなる制度であり、子供の福祉の向上にも喜ばしいことだ。特別養子縁組を希望するほとんどの夫婦が不妊治療経験者とのことで、制度の情報提供はまさにピンポイントといえる。ただ記事にもあるが養子縁組が一般的とは言えない日本では誤解や偏見があり、夫婦の子育て願望を満たすのではなく、あくまで子供のための制度であるという理念が容易に伝わらないという。
日本の体外受精件数はダントツの世界一であり実に年間45万8千件を超える。2位の米国と人口比に合わせて換算すると6倍の件数にも関わらず、2019年の統計で出産率は日本13%、米国25%。世界平均20%を大きく下回るのは、体外受精実施開始年齢が平均40歳と米国に比べ6、7年遅いことが関わっていると言われる。加齢による卵子の質の低下は出産率に大きく影響し、また染色体異常の発生率も高まる。出生前検査で染色体異常の可能性が指摘された場合約9割の夫婦が人工中絶を選択しているのが現状だ。不妊治療の保険適用枠の拡大で多少数値は上向きになるかもしれないが、開始が遅れるほどに身体にも懐にも国庫にも負担がかかることがさらに浮き彫りになった。
自分の遺伝子を持った子を授かるために、何年もの月日と多額の治療費を費やし、それが叶わなくても子育てがしたいと意見が一致する夫婦。これってすごいことじゃないかと思った。夫婦のどちらかが積極的でなくて夫婦関係がおかしくなり離婚するとか、治療スケジュールのために離職したり、繰り返す体外受精で身体と精神をやられたりなんて話は山ほど聞くのに。
もちろん上手くいくケースばかりではないだろう。既に年齢も高くなっているから経済的、体力的にも子供が成人するまで支えられるか見極めなければならない。どの段階で子どもの出自を本人にどう伝えるか等、普通の家族にはない難しい問題だってある。母の知り合いで里子を育てている家庭があったが、その子がどういう訳か里親によれば大変粗野で、生みの親の性格だろうかと悩みを漏らしていたそうだ。先天的な性格か環境によるものか、あるいは病気かも分からないが、家庭内外の暴力に苦労されていたという。そうなると夫婦の関係もまた微妙になるのが容易に想像できる。
血を分けた腹を痛めた我が子であっても、おチビがしっかり自己主張するようになると途方に暮れ、自分もそうであったのかなと親を思い、鍛えられるなぁと涙する。そうやって未熟ながら親にしてもらってきたというのに、望んで子育ての苦労に挑もうという夫婦がこれだけいるのにただ脱帽する。愛情深く、自然を愛し、暮らし全般に大らかでこだわらない性格の人だろうかと想像してみたりする。