2024年4月25日木曜日

お酒は二十歳になってからいつまで?

 長く書かなかった理由のひとつは生成AIの存在があるかもしれない。条件を与えれば動画さえ適当な材料から作ってしまう人工知能。新たな知能はこれまで人間が蓄積してきた考えやイメージを再構築して形にする、さらに専門性を高めて個性を出し始めていると言う。

教養も知識もない生身の人間がいまさら何を言っても虚しい。そう思い始めたらやる気がなくなる。全て人を人たらしめているのは脳の働きであり、神経が伝える信号でしかない。だから今のAIにできないことを挙げるなら、矛盾だらけの無茶苦茶で不可解な行動くらいのものだろう。

脳の働きがおかしくなる原因は、事故や病気で脳神経に損傷を負うケースもあるが、近年は加齢に伴って増える認知症の発症が珍しくない。発症のメカニズムは脳内のアミロイドβなるタンパク質の蓄積によると聞くけれど、基本防ぎようがないのが現状。治療薬が処方可能になったと言っても、脳のむくみや出血といった副作用の懸念と、半年ほど進行を遅らせることの意味がどれほどあるのか疑問は残る。脳の働きをおかしくするものには他にも薬物、そして最も身近なものとしてはアルコールがある。

酒が食事を美味しくしたり楽しい気分にさせてくれることについては特に否定しない。ただアルコールは少量でも脳にダメージを与えることが以前より指摘されていて、摂取量に比例して脳の萎縮が起こるという。脳萎縮の進んだ症例データをもとにした研究はあっても、実際に飲んだ量と萎縮の関係を臨床で追跡調査するのは難しいのでまだはっきりしたことは分かっていない。明確なのは原因が何であれ、一度萎縮した脳は元に戻ることはなく、ダメージを受けた場所によって症状が異なることだ。アルコールが成長過程の未成年に及ぼす影響は言うまでもない。

アルコールによる脳萎縮は老人性認知症と比較すると、全体的にまんべんなく萎縮する傾向があるそうで、それだけに目立った変化がないのが特徴という。自覚がない一方で、飲酒習慣のある人はない人に比べ10〜20%の脳萎縮がみられるという報告もある。樹木に例えれば先の方の枝が折れてスカスカになってもそれなりに樹形を保っているということか。未発達状態に後退したスカスカ脳では、ピーク時に比べ理解度も理性も大きく落ち込んでいるだろう。知能が下がれば本人の幸福度は上がるかもしれないが、果たして周囲の理解を得られるかどうか。

体内にアルコールが入ると大脳新皮質の機能が低下し、真っ先に感情を司る前頭葉の働きを悪くする。酔っ払いの言動は総じて横柄で、飲まない人を不快にする構図は古今東西変わらない。体質的に飲めない人だって人生嫌なことの一つはあるのだから種々の言い訳は通らない。飲まないことを責めたり馬鹿にするのは立派なハラスメント行為であることを自覚し、自傷行為に他人を巻き込むのはやめてもらいたい。さらにタチの悪いことには酔っ払いに何を言っても無駄なのだ。

ぼくの好きなおじさん

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