『灯台守』という小学唱歌を知っている。学校で習うような年代ではないし、何かの機会に聞いたのだろう。Wikipediaによると昭和55年NHK教育テレビ「みんなのうた」で放送されたそうなので、おそらく能登の舳倉島灯台の映像と共に視聴したのではと思う。原曲はイギリス民謡ということだが19世紀アメリカの讃美歌で歌われていた曲とそっくりで、だいたい同じくらいの頃アメリカで歌われていた『仰げば尊し』にも似ている。日本には明治時代「旅泊」「助船」として小学唱歌に入り、戦後は新しい歌詞で『灯台守』として五年生の教科書に掲載された。著作権など無かった時代だから勝手に歌詞をつけたら本家の方で消えていったというような次第ではなかろうか。
例えとしては相応しくないかもしれないが「灯台守」という言葉が、実は私のしている小さな仕事を連想させて好きな歌の一つとなっている。私の関係しているとある団体のホームページには問い合わせフォームが付いているのだが、あまりに関係のないセミナーや営利目的のゴミメッセージが多いために、本来の問い合わせをより分けて本部へ転送している。
そこに来る本来の問い合わせには、育児や障害者支援の真剣な相談も含まれており、夜中に発信されていることが多く相談者は100%女性である。お盆・正月休みや大型連休明けなどは件数が増える。若い世代にとってまずはメールで問い合わせというのが自然であるだけでなく、昼間に直接電話をかけた方が話は早くても、それができない理由がある人には問い合わせフォームが最初の窓口になっている。
対応するのは顔も見たことがないスタッフで、そこからどうなっているのか分からないが誠実に対応してもらっていると信じている。真夜中の不安な闇の中、誰かの行き先案内になっているかどうかは手応えはないけれど、ただ毎日メールチェックしている。
灯台守 (作曲 不詳 作詞 勝 承夫 昭和22年)
1 こおれる月かげ 空にさえて
真冬の荒波 よする小島(おじま)
想えよ とうだい まもる人の
とうときやさしき 愛の心
2 はげしき雨風 北の海に
山なす荒波 たけりくるう
その夜も とうだい まもる人の
とうとき誠よ 海を照らす