2020年2月8日土曜日

引越しをすると

いま住んでいる地方都市に来たのは20数年前のこと。連れ合いが一人で住んでいた小さな公団の2DKに住み始めた。すでにキャンプ用品やら釣り道具など趣味のものがスペースを埋めており、家電は一通りそろっていたので実家から運んだものといえば食器棚と衣装ケースくらいのもの。引越しの人は嫁入りといったら驚いていた。自分でも拾われた猫みたいだと思った。

本当にあと先考えずに来てしまった。アルバイトなど探しているうち体に異変が…。思いあたる節があり婦人科へいくと当り、には違いないけど心拍がどうもおかしいと。翌週案の定、貧血で道でうずくまっていたところ誰かが救急車を呼んでくれ搬送、流産、処置と。今思うに使われた薬、おそらく収縮剤が強すぎて脂汗がでるほど痛く、医院のしけた畳部屋で一睡もできずに一夜を明かした。

公団の部屋の隣には可愛い幼稚園くらいのお子さんが2人いる元気な奥さんが住んでいて、偶然にもしょげて戻った私に声をかけてくれ以来何かと親切にしてくれた。聞けば結婚披露宴の司会の仕事をしていて結構順調なのだとか。もうすぐ引越しすると伝えたら、今度ホテルでランチしようと誘ってくれ、出来て間もない高速道路を一路西へ。元気なママってかっこいいなぁ。そこで初めて子供のいる暮らしについて考えるようになったかと思う。鳥でも産んだ卵を隠すともうひとつ産むというから、これも本能かもしれない。

奥さん曰く、「うちも長いこと授からなかったけど、引っ越ししたら子供できるよ」
そうなればいいと願いつつ、すんなりといかないのが常であり、思いつく限り身体を整え、さらに1年以上の不妊治療を経て子を迎える準備に入った。気がついたら29歳になっていた。


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どうせ死ぬんだから

 「どうせもうすぐ死ぬんだから」と老人特有の僻みっぽいことを口にしながら、「年寄りは嫌よねぇ。若い頃はお爺さんやお婆さんがなんでそんなこと言うんだろうってずっと思ってたわ」と母は自分で言って笑っている。続けて「それはね」となかなかに深い話をしてくれた。 長く生きてもやっぱりあの世...