彼らが小学生の頃は夏休みに読む本など何冊か用意しましたね。高学年ともなると子供が読みやすい文体で大人が読んでも面白い内容のものを探すのは結構難しい。感想文を書くには妙に入り込んでしまう小説より、ルポやドキュメンタリーの方がいいと思って選んだのがこれ。
西村大 『食べ物と自然の秘密』小峰書店 2003年
偏食のかたまりみたいな長男が興味を持つかと手にとったら、やはり小学生男子を引きつけるアレがありました。小学生男子が一度は通る漫画雑誌「月刊 コロコロコミック」小学館 の内容もざっと8割はう○この話ではないかと思われます。低学年男子の頭の中もね。
それはともかく、家畜として豚を飼うのに人の排泄物を餌とする文化が近年まで続いていた由、日本でも沖縄や奄美でもよく見られたとのこと。その辺りは想像に難くないけれど、漢代・三国時代の墓から出土した豚便所の模型にはちょっと衝撃でした。構造としては階上の小屋で用を足すと穴からオートマチックに落下したものを、豚が階下で待ち受けるシステム。都市に人が集中し大量の食糧を賄うため町の中で豚小屋を作る必要性が出てきた表れだとか。豚は羊や牛のように草を消化できないので基本的には人と同じものを食べることから、少しでも餌を減らしたい思いで生まれたのがこの豚便所なのです。
衛生面はともかくこのコストカットシステムトイレが現代に伝えられるのは、漢代の墓に副葬された陶製模型があるおかげと言えます。もちろん穀物倉もセットにしてるけど、ご飯があったらお酒もおかずも持たせてあげたい。愛するあなたへ贈る言葉♬ あの世にも食と排泄が必要不可欠であることを豚便所は如実に物語っています。